先に結論:取得方法は件数・期限・更新・深掘りで決める

  • 数十件を一度だけ調べる

    対象が狭く、公式サイトを深く確認したいなら自作が向きます。

  • 数百件以上を短納期でそろえる

    収集と整形を省きたいなら購入を候補にします。

  • 母集団と個別仮説を両立する

    CSVで候補を用意し、優先施設だけ追加調査する併用が向きます。

  • 価格は人件費と並べて比べる

    調査、転記、名寄せ、重複確認、更新まで含めた総コストで判断します。

営業リストの目的は、病院やクリニックの名前を大量に持つことではありません。誰に、なぜ、どの方法で連絡するかを決められる状態にすることです。

営業開始できる「最小リスト」を先に決める

収集を始める前に、営業方法と商材から必要な列を決めます。列が決まらないまま情報を集めると、後から全件を調べ直すことになります。

利用場面最低限必要な列判断材料として追加したい列
テレアポ医療機関名、地域、電話番号施設種別、診療科、診療時間、休診日
FAXDM医療機関名、FAX番号、地域管理者、開設者・運営者、施設種別
訪問営業医療機関名、住所、電話番号診療科、病床数、管理者、運営者
医療機器の提案施設種別、診療科、住所病床数、医師数、設備・診療機能
電子カルテ・予約システム・SaaS施設種別、開設年月日、電話番号運営者、診療時間、DX・在宅など商材に関係する情報

たとえば、予約システムなら電話番号だけでなく、診療時間、休診日、公式サイト上の予約方法も確認したくなります。医療機器なら診療科や施設規模、SaaSなら利用部門を考える材料が必要です。

まず30〜50件で営業を試すのか、地域全体の母集団を用意するのかを決めると、必要な対象件数と取得方法が見えます。

自作では3つの情報源を役割分担する

病院・クリニックの一覧を自作するとき、1つの情報源ですべてを完成させようとすると手戻りが増えます。候補抽出、基本情報の補完、連絡前の最新確認を分けます。

情報源確認しやすいこと営業リスト化で残る作業
医療情報ネット名称、所在地、電話・FAX、診療科、診療時間など医療機関が報告する情報必要項目の抽出、営業条件での絞り込み、表記統一
地方厚生局の指定状況保険医療機関の指定状況や新しい指定先の候補地域ごとに異なるPDF・Excelの取得、列の統一、他データとの突合
病院・クリニックの公式サイト現在の連絡先、診療内容、診療時間、休診日、運営状況1件ずつの確認、更新日の判断、営業仮説の記録

医療情報ネットは、都道府県ごとに運用されていた情報提供システムを集約し、2024年4月から全国統一で運用されています。ただし、患者が医療機関を選ぶための情報を、そのまま自社の営業管理へ使える形で出力するものではありません。

地方厚生局の一覧は候補抽出に使えますが、地域や月によって公開形式が異なります。複数地域を扱うなら、列名、施設名、住所、日付形式をそろえ、同じ医療機関の重複を確認する工程が必要です。公式サイトは最新確認に向きますが、網羅的な母集団づくりには時間がかかります。

自作コストは4工程で計算する

自作の総コストは、検索時間だけでは分かりません。次の式で、収集後の作業まで含めます。

自作総コスト =(収集時間+整形時間+名寄せ・重複確認時間+最終確認・更新時間)× 担当者の時間単価+ツール利用料

仮に300件を1件4分で調べると、収集だけで20時間です。整形5時間、名寄せ・重複確認3時間、最終確認2時間を加えると30時間になります。担当者の時間単価を3,000円と置く仮想例では、人件費は90,000円です。

入力項目自社で入れる値
対象件数今回営業したい施設数
1件あたりの収集時間検索、転記、基本確認にかかる平均分数
整形時間列名、住所、電話・FAX、日付形式をそろえる時間
名寄せ・重複確認時間同一施設、法人、移転、名称変更を確認する時間
更新時間連絡前・定期更新で再確認する時間
時間単価担当者の人件費を1時間に換算した金額
ツール利用料収集、表計算、外部サービス等の費用

少数の検証なら自作が合理的でも、地域を広げたり更新頻度を上げたりすると判断は変わります。営業開始が遅れることで、テレアポや商談に使える日数が減る点も見落とせません。

無料データを使う場合も、収集・整形・名寄せ・更新の人件費を含めて初めて購入価格と比較できます。

購入価格は「必要な地域と項目」で見る

完成済みCSVを購入するときは、全国一括の価格だけで判断せず、営業できる地域と必要項目に絞ります。2026年8月13日にGasoLeadの医科営業基本セットの初期表示を確認した結果は次のとおりです。データの最終更新はいずれも2026年7月1日です。

対象範囲掲載件数直近12か月の新規開業初期表示価格
全国96,751件3,993件1,549,516円
東京都13,905件859件223,980円
大阪府8,789件418件142,124円
神奈川県6,805件311件110,380円

表示価格は、地域や追加する営業項目によって変わります。購入時は現行ページで対象件数、価格、更新日を再確認してください。

GasoLeadの現行医科ページでは、施設名、住所、電話番号、診療科、管理者、開設者・運営者、医師数、開設年月日、FAX番号、診療時間、休診日などをCSVへ含められます。医療DX、在宅、救急対応など、商材に合わせた情報も追加できます。

購入の利点は、営業成果が保証されることではありません。収集と整形を短縮し、ターゲット選定と接触準備へ早く進めることです。

自作・購入・併用の選び方

自社の状況自作購入併用
30〜50件を一度だけ深く調べる第一候補過剰になりやすい必要性は低い
数百件を数日で準備する納期に間に合いにくい第一候補優先候補の追加調査に使える
必要項目が公的データの一括出力でそろう第一候補費用比較の対象更新だけ外部化できる
複数地域を継続的に新規開拓する内製基盤が必要更新条件を確認第一候補
母集団を早く作り、上位候補だけ深掘りする母集団作成に時間がかかる個別仮説が不足する第一候補

購入しても、全件へ同じ提案を送るわけではありません。既存顧客、対象外地域、商材と合わない施設を除き、連絡理由を追加します。逆に自作でも、必要な列がそろい、更新できるなら購入する必要はありません。

母集団はCSVで準備し、優先度の高い医療機関だけ公式サイトで深掘りする併用が、量と個別仮説を両立しやすい方法です。

購入前はCSVサンプルで確認する

  • 病院・クリニックの対象定義と地域が自社の営業条件に合う
  • 必要な電話番号、FAX番号、診療科、開設年月日などの列がある
  • データの更新日または基準日を確認できる
  • 空欄の割合と、空欄が営業へ与える影響を確認できる
  • 施設名、住所、法人名の重複や表記揺れを扱える
  • サンプルの文字コードと列名がCRM・表計算ソフトに合う
  • 絞り込み後の対象件数と最終価格を確認できる
  • 購入後に自社で追加する優先順位・接触結果の列を決めている

GasoLeadの医療機関CSVサンプルは、固定URLから確認できます。列名、日付形式、空欄、表記の粒度を見てから、自社の利用方法に合うか判断します。

取得後は営業判断の5列を追加する

  1. 連絡理由:商材と施設条件のどこが合うのかを1文で残します。
  2. 優先順位:対応地域、商材との一致度、連絡可能性からA・B・Cなどで分けます。
  3. 担当部署・担当者:受付で案内された部署、氏名、連絡方法を追記します。
  4. 案件状態:未接触、資料送付、商談、時期未定、対象外などを管理します。
  5. 次回アクション:次に誰が何をするか、期限とともに記録します。

施設の基本情報と、自社の営業活動で判明した情報を同じ列へ上書きしないことが大切です。元データを残したまま営業列を追加すると、更新時にも比較しやすくなります。

営業リストは、取得した時点では母集団です。連絡理由と次回アクションが入って初めて、営業担当者が使える案件一覧になります。

よくある質問

無料の情報だけで病院・クリニックの営業リストを作れますか

作れます。対象が少なく、必要な列が医療情報ネットや地方厚生局の一覧でそろうなら、自作は現実的です。まず少数で1件あたりの作業時間を測り、対象件数を掛けて総コストを出します。

何件から購入したほうが安くなりますか

一律の件数では決まりません。1件あたりの調査時間、必要な項目、整形・名寄せの量、時間単価、納期、更新頻度によって分岐します。50件を深く調べる仕事と、1,000件の電話番号を短期間でそろえる仕事では基準が異なります。

購入したCSVなら連絡前の確認は不要ですか

不要にはなりません。購入データは母集団づくりと整形を短縮しますが、担当部署、現在の受付方法、商材との適合、連絡可能な時間帯は接触前後に確認します。更新日も見て、重要な候補は公式サイトや代表電話で補足します。

まとめ

病院・クリニックの営業リストは、無料か有料かではなく、対象件数、必要項目、納期、更新頻度、担当者の時間単価で選びます。少数を深く調べるなら自作、短期間で母集団を作るなら購入、量と個別仮説を両立するなら併用が候補です。

最初の一手は、営業方法ごとに必要な列を決め、30〜50件で1件あたりの作業時間を測ることです。その実測値を総コストへ換算し、購入価格と並べて判断してください。